ヒヨドリ

「ヒヨドリの生態は?どんな鳥なの?」

ヒヨドリ(スズメ目ヒヨドリ科)は、都市部でも普通に見られる鳥ですが、もともと山や森で暮らしていました。
桜の蜜などの甘い物を好んで食べます。

「ヒーヨ」と鳴く事から名付けられたヒヨドリは、鳴き声がとても大きな鳥で、地味な見た目と相まって、あまり人気がある鳥とは言えません。

ですが、ヒヨドリは日本周辺でしか繁殖しない世界的には珍しい鳥で、海外の方々が見たい鳥の1種になっています。

ヒヨドリの鳴き声

「ピーヨ」

「ピーチュージュリ」

「ヒヨドリの雛の鳴き声」

ヒヨドリの生態まとめ表

ヒヨドリの顔のアップ画像

ヒヨドリの特徴や基本情報について
分類動物界/脊索動物門/脊椎動物亜門/鳥綱/スズメ目/ヒヨドリ科/ヒヨドリ属
特徴体は灰褐色で頭上は青灰色味が強く、耳羽は褐色。くちばしは黒い

他の鳥との比較
スズメよりずっと大きく、尾は長め。ムクドリやツグミに比べるとほっそりした体型に見える

地域差
南に生息するヒヨドリは、北に生息するものより体色が濃い

会える季節1年中見られ、日本で繁殖する。北部のものは秋に暖地に移動し、10〜11月には、大群で見られる事もある
会える場所林、市街地、木のあるところ
会える地域日本全国
世界分布
サハリン、朝鮮半島南部、台湾、中国南部、フィリピンの北部(ルソン島)
サイズ/重さ27.5cm/70〜100g
名前
  • 漢字:鵯
  • 英名:Brown-eared Bulbul
  • 学名:Hypsipetes amaurotis
名前の由来
  • 日本語名「ヒヨドリ」は「ヒーヨ、ヒーヨ」と鳴くからという説やヒエを食べる事から。また「稗鳥(ひえどり)」が変化してという説があるが、ヒヨドリはヒエを食べない
  • 英語名は、ヒヨドリの外見的特徴から。また「Bulbul」はヒンディー語(बुलबुल)またはペルシア語またはアラビア語(بلبل)に由来し、ナイチンゲールを意味する。ただし英語で「Nightingale」はヒヨドリではなく「サヨナキドリ(外部サイト)」を指す
  • 学名の「Hypsipetes」は「高く飛ぶ鳥」を意味し「amaurotis」は「ぼやけた色の耳の」を意味する
食べ物花の蜜、果実、木の実、野菜など、甘い物を好む。
春には桜の花の蜜、初夏にはヤマモモなど季節により甘い物を求めて行動する繁殖期の食性
繁殖期には昆虫も食べる。
雛には昆虫を中心に与え、木の実がなれば、ヤマモモなども与える
鳴き声「ピーヨ、ピーヨ」「ヒーヨ、ヒーヨ」「ピーッ、ピーッ(飛びながら)」「ピーピョロピョロピ」など、かなりのバリエーションがある

枝に止まるヒヨドリの画像

ヒヨドリの似た鳥や子育てについて
オスとメスオスとメスは同じ見た目で、外見からは判断が難しい。つがいでいる時に、頭の羽がよく逆立っているのがオスだと言われている
つがい
  • 4月になると、メスのヒヨドリがヒナが餌をねだる時に行う両翼を震わす動作を行い、オスから食べ物を受け取る事が多くなる
  • この動作は真冬でも見られるが、繁殖期以外は食べ物を受け取る事はない為、一種の愛情表現で、つがい関係は非繁殖期にも続いている可能性がある
似た鳥
寿命野生では4〜5年、飼育下では8〜10年と言われている
性格ヒヨドリは同じヒヨドリに対して警戒行動が多く見られ、次にハシボソガラス、ヒト、トビ、ノスリの順に警戒している
行動樹上での活動が多いが、水浴びの時など、たまに地上に降りる事もある

ヒヨドリの狩り
またセミを弱らせる際には、地面に降りてセミを叩きつけて羽などを落とす行動が見られる

ヒヨドリの飛び方
飛ぶ時には、波を描くように飛ぶ(波状飛行)

子育て
  • ヒヨドリは子育てを始めるのが5月頃と、他の留鳥に比べて遅め
  • 枯れ枝や樹皮、細根、枯れ松葉などで作った巣に、薄いピンクがかった斑点のある白い卵を3〜4個産む
  • メスのみが卵を温め、13〜14日で孵化、その後10〜11日で巣立つ
  • ヒナは巣立って1〜2ヶ月ほど親と共に行動する

ヒヨドリの雛

巣に近い枝にとまり、巣立ちを迎えたヒヨドリの雛3羽の画像

巣立ったばかりのヒヨドリの雛は、巣から少し離れた木の上で過ごすようになります。

親鳥の鳴き声を頼りに、毎日過ごす場所を移動して、カラスなどの天敵に気づかれないように対策しています。

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ヒヨドリの補足情報

鳴くヒヨドリの画像

日本のヒヨドリ科は2種類しかいない

日本で見られるヒヨドリ科の鳥は「ヒヨドリ」と「シロガシラ」の2種類だけです。

「ヒヨドリ」は日本全国で見られますが「シロガシラ(外部サイト)」は沖縄の限られた地域にしか生息していないんです。

ヒヨドリの鳴き声にはバリエーションがある

ヒヨドリを観察していると、ヒヨドリはよく鳴いていませんか?
ヒヨドリの鳴き声をよく聞いてみると、かなりのバリエーションがある事がわかります。

ヒヨドリの鳴き声が気になって、ヒヨドリが鳴いているシーンを録音して、一つの動画にまとめてみたんです。
そうすると、人間の耳でも11種類以上のパターンが確認できました

>>>ヒヨドリの鳴き声動画

ヒヨドリは桜が好き

桜の木に止まるヒヨドリの画像

ヒヨドリは桜が大好きで、桜を見ていると、ヒヨドリの方からやってくるほどです。

ヒヨドリは花ごと食べたりせず、くちばしを突っ込んで蜜を飲んで、花を楽しみます。
なので、桜にやってきたヒヨドリのくちばしは、花粉で黄色くなっています。

ヒヨドリが野菜を食べるのは主に冬

ヒヨドリは野菜を食べる鳥として、時に「害鳥」として扱われています。

ヒヨドリは甘い物を好む為、甘い物が無くなった最後の選択肢として野菜を食べると考えられています。
被害は冬に集中していて、年末?春までに被害が集中しています。

>>>【関連記事】ヒヨドリの好きな食べ物と嫌いな食べ物は何?

ヒヨドリの子育てはメス中心

子育て中のヒヨドリ

ヒヨドリの子育ては、メスが巣を作り、卵もメスだけが温めます。

メスが巣作り中の時は、オスはメスに付きっきりで、そばにいます。

またメスが抱卵中の時は、オスは巣の付近をウロウロと警戒したり、たまにイモムシをくわえて近くを飛び回るのが観察できます。(参考文献によると、巣まで行って、メスに食べ物をあげる行動は観察されなかったようです)

雛が孵れば、オスとメスで雛を育てますが、子育てが進むにつれて、オスはなわばり維持や警戒に時間を割くようになります。

>>>【関連記事】ヒヨドリの巣は縁起がいい?

つがい関係は冬も続いている?

ヒヨドリは、冬でも求愛給餌の行動が見られます。

冬の求愛給餌では、実際にオスが食べ物をあげる様子は観察されていませんが、1種の愛情表現と考えられていて、冬でもつがい関係が続いていると考えられています。

非繁殖期には家族で過ごす?
また非繁殖期でも、ヒヨドリは3?5羽の小さな群れが見られる事から、次の繁殖期まで家族関係が続いている可能性があります。

ヒヨドリは、花の蜜という限られた資源を利用する事から、なわばり維持や家族間の関係性が強いと考えられます。

>>>【関連記事】ヒヨドリのオスとメスの見分け方

ヒヨドリとムクドリ

ヒヨドリとムクドリは、人のそばで生活しているので、よく目にすると思います。

どちらも身近な鳥なので「どっちがヒヨドリ?どっちがムクドリ?」と、初めは悩みますよね。

ですが、ヒヨドリとムクドリは姿がまったく違うので、一度覚えてしまえば一瞬で見分けられるようになります。

ヒヨドリはなつく?

ヒヨドリは雛の頃から育てると、非常に人になつく事が知られています。

しかも、飼い主を見分けられる!

人に育てられたヒヨドリは飼い主を見分ける事もできたので、平安時代には、貴族の間で盛んに飼育されていました。(ヒヨドリの飼育は、古今著聞集などに記録されていて、競走馬のように名前をつけて可愛がられていたようです。)

編集部による観察レポート「探鳥記」

参考文献

ヒヨドリの生活史に関する研究フィールドガイド日本の野鳥/高野伸二 著野鳥観察ハンディ図鑑 山野の鳥/安西英明 解説/谷口高司 絵」「庭で楽しむ野鳥の本/大橋弘一 著」「散歩で楽しむ野鳥の本/大橋弘一 著

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