島国である日本には、日本でしか暮らしていない「日本固有種」と呼ばれる動物達がいます。
その中の1種である「ニホンカモシカ」は古くから日本人と深く関わってきました。
ここではニホンカモシカと日本人がどのようにして付き合ってきたのか、年代ごとにざっくりとまとめています。
僕達人間がニホンカモシカと、どのように付き合ってきたか知りたい方は、ぜひご覧ください。
- 1873年?1925年:狩猟資源期
- 1925年?1959年:密猟横行期
- 1959年?1979年:絶対保護期
- 1979年?:科学的保護管理の探究期
ニホンカモシカと人間の歴史
1873年(明治6年)?
鳥獣猟規則によると、この時期のニホンカモシカは狩猟獣でした。
当時は毛皮や肉、角が利用されニホンカモシカの数は激減する事に…
ニホンカモシカは「幻の動物」と呼ばれるまでに数を減らしました。
1925年(大正14年)
狩猟法により、カモシカが捕獲禁止になりました。
1934年(昭和9年)
史跡名勝天然記念物保存法で、ニホンカモシカは天然記念物に指定されました。
1955年(昭和30年)
文化財保護法により、ニホンカモシカは特別天然記念物になりました。
1959年(昭和34年)
全国でカモシカの密猟者の取締が行われ、全国26都府県で検挙者が164名も出ました。
1970年代
特別天然記念物に指定され、保護の対象となったニホンカモシカはどんどん数を増やしていきます。
その結果、1970年代にはカモシカによる農業被害が急激に大きくなり、社会問題になるほどでした。
1978年(昭和53年)
カモシカのコントロールと捕獲個体などのモニタリング調査が開始されます。
1979年(昭和54年)
関係3庁(環境、文化、林野)によるカモシカ保護管理政策転換の合意が行われました。
これにより必要な場合にはコントロールのための捕獲が認められました。(ただむやみやたらに捕獲できるわけではなく、モニタリングがセットでの許可でした。)
1980年代
カモシカ保護地域の設定が進みます。
これにより保護地域で特別天然記念物として保護されるカモシカ、それ以外の地域で農業被害を出すカモシカへの対処を別々に考えられるようになりました。
1985年(昭和60年)
岐阜県の被害者同盟が国相手取って損害賠償訴訟を提訴しました。
この騒動は「カモシカ訴訟」と呼ばれています。
1990年代
カモシカ問題が下火になってきます。
- 林業の衰退に伴う植林面積の減少
- カモシカによる被害の減少
- シカを中心とした他の動物の拡大に伴う被害の激化
1992年(平成4年)
カモシカ訴訟、原告が提訴を取り下げました。
1999年(平成11年)
鳥獣保護法が改正され、特定鳥獣保護管理計画制度が創設されました。
これにより科学的・計画的保護管理の枠組みができました。
2000年代
シカがどんどん増えていき、シカの高密度化が進む中で保護地域のカモシカの生息密度が低下し、西日本の地域個体群は減少傾向が顕著になっていました。
シカが増えた事により、カモシカの数が減ってしまい、特に西日本のカモシカはその数は激減し、現在に至るまで西日本ではニホンカモシカは特定の地域にしかいません。
2020年
カモシカ保護管理作業部会が今後の基本方針を定めました。
それが以下の通りです。
- 保護地域外のカモシカの現状把握,個体群変動の要因分析や保全・管理手法の検討
- 絶滅危惧個体群への緊急対応
- 保護管理施策の改善・充実
ただカモシカ保護の現場では、地元住民の関心が低く、財政的にも厳しい事から、地域的にカモシカが絶滅してしまうのを防ぐのが目的であっても、すぐに行動を起こせずにいます。
まとめ
日本人とニホンカモシカの歴史はいかがでしたでしょうか?
人間も動物も生きている限りは、他の命との衝突は避けられません。
ですが、その衝突の仕方こそが、動物達との付き合い方になります。
田舎に住んでいても、野生動物との出会いはあまりないものですが、動物達と向き合う機会があれば、動物に対して敬意ある付き合い方をしていきたいと、僕は強く思います。
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参考文献
群馬県野生動物調査・対策報告会(2009年度)?
http://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/report2009_4.pdf
カモシカ保護管理に関する研究
https://waseda.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=46820&item_no=1&attribute_id=20&file_no=1
カモシカ保護管理の新たな展開に向けた現状認識と課題
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/60/1/60_141/_pdf