ホトトギス

「ホトトギスの生態は?どんな鳥なの?」

ホトトギス(カッコウ目カッコウ科)は、夏鳥として日本にやってくる渡り鳥です。
ウグイスの巣に卵を産んで、雛を育てさせる托卵という習性があります。

ホトトギスの鳴き声

ホトトギスのさえずり

ホトトギスの生態まとめ表

枝からのぞくホトトギス

ホトトギスの特徴や基本情報
分類動物界/脊索動物門/脊椎動物亜門/鳥綱/カッコウ目/カッコウ科/カッコウ属
特徴頭部と背中は灰色で、翼と尾羽は黒褐色。下面の斑は太く粗い。目の周りに黄色いアイリングがある。
会える季節5月中旬〜9月。夏鳥として繁殖の為に飛来する
会える場所山地の林
会える地域九州以北に飛来するが、北海道では南部のみで少ない

世界分布
アフリカ東部、マダガスカル、インドから中国南部まで。日本にやってくるホトトギスはインドから中国南部のものと考えられている

名前
  • 漢字:杜鵑
  • 英語名:Lesser Cuckoo
  • 学名:Cuculus poliocephalus
名前の由来
  • 日本語名「ホトトギス」は「鳴き声がホトホトと聞こえる」事から。「ス」は鳥類を表す接尾語。昔の人はホトトギスの鳴き声を「ホットホトギ」と聞きなした
  • 英語名「Lesser Cuckoo」は「小さいカッコウ」を意味する
  • 学名の「Cuculus」は「カッコウ」を、「poluocephalus」は「灰色の頭の」を意味する
サイズ/体重28cm/50〜60g/ハトより少し小さく、ヒヨドリより少し大きい
食べ物毛虫を好んで食べ、1966年の調査報告によると、食事の9割が「ウメエダシャク、トンポエダシャク、オオトビモンシャチホコ、モンクロシャチホコ、マイマイガ、キアシドクガ、ヒトリガ、サラサヒドリ、キベリタテハ」などの蛾の幼虫だった。残りの1割は小型の甲虫や蜂など

遠くの木の上にいるホトトギス

ホトトギスの生態や子育てについて
鳴き声「キョッキョッ、キョキョキョキョ」とさえずり、「テッペンカケタカ」「特許許可局」と聞きなしされる。夜間、飛びながら鳴く事も多く、「ピピピピ」とも鳴く
寿命平均寿命は1〜2年との情報があるが、詳しくは不明
オスとメス同じ見た目だが、メスには羽の色が赤い個体もいる
歩き方樹上生活なので、地面を歩く事はほぼない
似た鳥カッコウ(外部サイト)」「ツツドリ(外部サイト)」
性格鳴き声は良く聞こえるが、姿はなかなか見れない
行動主にウグイスの巣に卵を産んで、雛を育てさせる托卵を行う
子育て
  • 托卵は6月頃から始まる
  • ウグイスの巣にある卵を1つ取り除き、3gほどのウグイスの卵に似た赤い卵を1個産む(ウグイスの卵は1.5gほどで、見た目も赤い)
  • ウグイスの卵は約14日で孵化するが、ホトトギスの卵はそれよりも2〜3日早く孵化する
  • 孵化した雛は、ウグイスの巣にある卵をすべて地面に落とし、ウグイスの親鳥からの食べ物を独り占めにする
  • ホトトギスの雛は、約2週間ほどで巣立ちを迎え、巣立ち後もしばらくはウグイスの親鳥から食べ物をもらう

ホトトギス補足情報

ホトトギスの托卵

ホトトギスの托卵は、ウグイスに見つからないように、こっそりと行われます。

ウグイスに見つかり攻撃や威嚇をされてしまうと、托卵の成功率は低くなるからです。

托卵率
また3年間の調査結果をまとめた論文によると、ホトトギスの托卵率は46%で、約半分ほどのウグイスが托卵されていました。

ホトトギスの雛の巣立ち率
托卵が行われても雛が無事に巣立つまでに、天敵による捕食、巣の破壊、巣の放棄などが起きるので、ウグイス自体の繁殖成功率は20%と低く、論文の記録によると、ホトトギスの雛の巣立ち率は3%でした。

ホトトギスの別名

ホトトギスにはたくさんの漢字表記があり、その一覧をまとめています。

ホトトギスの別名
杜鵑紀元前316年、秦の将軍・司馬錯によって滅ぼされた蜀を嘆き悲しんだ杜宇(とう)の化身のホトトギスは「不如帰去(帰り去くに如かず)」 (帰る方が良い/帰りたい) と血を吐くまで鳴いたという話に由来する。ホトトギスの口の中が赤いのはこの伝説に由来するとまで言われる
杜宇同上の中国の伝説から
蜀魂同上の中国の伝説から
不如帰同上の中国の伝説から
時鳥田植えを始める時期に鳴く事に由来
子規結核を患って喀血(かっけつ)していた正岡子規が、啼いて血を吐くというホトトギスの伝説に由来
田鵑不明。「田」とある事から、時鳥と同じ理由?
郭公平安時代では、ホトトギスを表す漢字だった
菖蒲鳥・文目鳥(あやめどり)ホトトギスが飛来する5月頃に咲く花「アヤメ」に由来
夕影鳥(ゆうかげどり)、黄昏鳥(たそがれどり)、夜直鳥(よただどり)、射干玉鳥(ぬばたまどり)ホトトギスが夜にも鳴く事に由来

漢字表記が多い理由(仮説)

ホトトギスの姿を見た事がある人はどれくらいいるでしょうか?

鳴き声はとても目立ちますが、ホトトギスを見た人はあまりいないと思います。
それは現在も昔もさほど変わらなかったと考えられます。

ホトトギスの鳴き声は知ってるけど、姿は知らない。
だからこそ、この鳴き声の鳥は〇〇だと色々な人が想像力を働かせた結果の名前の多さなのかもしれません。

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参考文献

フィールドガイド日本の野鳥/高野伸二 著

野鳥観察ハンディ図鑑 山野の鳥/安西英明 解説/谷口高司 絵

鳥の生態の「なぜ?」を探る」「日本産ホトトギス科の食性」「神戸の野鳥観察記-ホトトギスとウグイス-」「本州におけるウグイスに専門的に托卵するホトトギスの繁殖生態

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