ある少年の話~動物達の幸せを考える~

ある少年の話~動物達の幸せを考える~

小鳥のさえずりが聞こえて、閉じた瞼に光を感じる。朝が来た。

いつもの朝、いつもと変わらない朝。

僕はこの部屋で目を覚ます。ここが僕の世界。


ベッドがあって、お母さんとお父さんが用意してくれたおもちゃがある。

天井を見上げると、小さな窓があって、そこから太陽と言う物から光が送られているんだ。

壁の一面には、扉がある。


ドアノブを回す。勿論、開かない。

ここは僕の世界。僕だけの世界。とても安全な場所なんだって、お母さんもお父さんも言っている。

僕はこの場所から出た事は無い。


ここには何でもあるんだ。美味しいご飯も、優しいお母さんもお父さんも、何も危険が無い僕だけの世界なんだ。

ある朝、窓を見ていると、何かが停まっている。あれは何?とお母さんに聞くと、「あれは小鳥よ」と教えてくれた。

その小鳥は、ピチュピチュと声を出して、そして羽を広げて飛んだんだ。


窓の外の世界。とても危険な場所だって、お母さんもお父さんも言っていた。

僕を守る為に、この場所はあるんだって。

でも、あんな可愛い小鳥のいる世界が、本当に危険なのかな・・・


小鳥の事をお母さんに聞くと、あの小鳥は死んじゃうんだって。

外の世界は危険だから、あんな小鳥はすぐに死んじゃうんだって。

そうなのかな・・・小さくてもあの小鳥は、僕には輝いて見えた。


いつもの朝、いつもの毎日。ここは安全な場所。

部屋の中は狭くって、すぐに端から端まで行けてしまう。

持ってきてくれるおもちゃも、すぐに飽きて退屈になる。


新しいおもちゃ。優しいお母さん、お父さん。美味しいご飯。

すべてが満たされている僕の世界。でも、退屈だ。


お母さんに相談すると、お母さんと遊べる。

お父さんに相談すると、お父さんと遊べる。

けれど、退屈なんだ。


あの小鳥を見た時から、僕は外の世界を知りたくなった。

この手を思いっきり伸ばして、外の空気を掴みたい。

この足を思いっきり動かして、外の世界を駆け回りたい。


部屋の端から端まで、猛ダッシュ。

すぐに壁が迫って、慌ててスピードを緩める。

ドンッ。壁にぶつかった。


思いっきり手を伸ばして、部屋の空気を感じる。

光に照らされた埃が、くるんと舞うだけ。

変わり映えのしない僕の世界。


いつも優しいお母さん。

いつも優しいお父さん。

僕が外の世界を見たいと言った時だけ、いなくなる。


いつもの朝。いつもの日常。

ここは僕だけの世界。

安全な僕だけの世界。


ねぇ、僕は今、幸せだと思う?