「ウグイスの生態は?どんな鳥なの?」
ウグイス(スズメ目ウグイス科)は、藪などに隠れるように過ごし、野鳥観察でもしないと、なかなか姿が見れない鳥さんです。
春になると、ホーホケキョと大きな声でさえずり、日本人にとって馴染みの深い鳥さんです。
ですが、姿をあまり見ないことから、メジロとよく間違えられている鳥さんでもあります。
ウグイスの鳴き声
ウグイスのさえずり「ホーホケキョ」 |
ウグイスのさえずり(谷鳴き)「ケキョケキョ」 |
ウグイスのさえずり鳴き始め |
ウグイスの生態まとめ表
ウグイスの特徴や基本情報 | |
特徴 | オスはメスより大きい。鳴き声は目立つが、いつも藪の中にいて姿を見せない |
会える季節 | 1年中 |
会える場所 | 藪、林、山 |
会える地域 | 日本全国 |
名前 |
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名前の由来 | 鳴き声が「ウー、グイ」と聞こえる事から 「ス」は鳥を意味する古い接尾語 |
サイズ/重さ | オスは16cm、メスは14cm/20〜12g |
食べ物 | 昆虫、クモ類、種子、木の実など |
ウグイスの生態や子育てについて | |
鳴き声 | 「ホーホケキョ」「ケキョケキョ」とさえずり、普段は「ジャッ、ジャッ」と鳴く |
寿命 | 飼育下では約8年、野生下では約2〜5年と言われている |
オスとメス | 同じ見た目だが、大きさが違う。オスのなわばりには複数のメスが出入りし、子育てを行う。一夫多妻 |
歩き方 | ピョンピョンと枝から枝へ飛び移るように動き、歩かない |
似た鳥 | 「ヤブサメ」「センダイムシクイ」 |
性格 | さえずる時も、人目を避けた場所にいて警戒心の強い鳥だが、場所によっては電線にとまってさえずる個体もいる |
行動 | 山地や北の地方のものは冬に暖地へ移動する |
子育て |
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ウグイスはこんな鳥
鳴き声は知っているけど、姿は知られていない鳥さん
スズメ目ウグイス科に分類される鳥類です。
繁殖期以外は、薮の中で行動し、鳴き声は聞こえるけど姿はなかなか見えない鳥さんの代表。
繁殖期のオスは、木のてっぺんでさえずりますが、少し隠れるように鳴くことが多く、やっぱりなかなか姿は見れません。ただ場所によっては電線に出てきて、さえずる個体もいます。
ウグイス科と近縁種のムシクイ科と姿がよく似ています。
ウグイスとムシクイ科のオオムシクイを見比べる
ウグイスと近縁種ムシクイ科の鳥達は、生活環境も似ていて、姿もとてもよく似ています。
ただ、ウグイスと他のムシクイ科の鳥たちそれぞれで個性的なさえずりをしているので、繁殖期はさえずりで判断するのが最善です。
普段の鳴き声、地鳴きもそれぞれに特徴がありますが、さえずりほど特徴があるわけではなく、それぞれの種の鳴き声を覚えておかないといけないため、聞き分けるのは大変です。
オオムシクイのさえずり
オオムシクイの地鳴き、ジジッ
ウグイスの鳴き声
ホーホケキョ
2月頃から聞こえ始める繁殖期のさえずり。
縄張り維持や他のオスの侵入抑制、新しいメスを呼び寄せるなど様々な役割があります。
ホーホケキョの練習
2022年11月録音。
ハッキリしないホーホケキョが、秋頃から聞こえてきます。
この時期に成鳥が春のためにさえずりの練習をするとは考えにくいので、これは若鳥がさえずりの練習をしているのではないかと思われます。
ホーホケキョの鳴き始め
2月下旬頃から、ウグイスはさえずることが多く、さえずり始めはハッキリとしたホーホケキョではありません。
春が近づくにつれて、ハッキリとしたホーホケキョとさえずれるようになっていきます。
チャッ、チャッorジャッ、ジャッ
地鳴き、日常会話のような鳴き方で、仲間同士の確認、警戒、飛び立つ時の掛け声といった色々な意味があります。
笹藪からよく聞こえることから、「ウグイスの笹鳴き」と呼ばれることもあります。
ケキョケキョケキョ…
ウグイスの谷渡りと呼ばれるさえずり。
大きな声からだんだん小さくなっていくので、ウグイスが谷を渡っていくように聞こえたことから名付けられました。
危険が迫った時などに鳴き、メスに警戒を促しています。
ハワイにもいるウグイスの鳴き声
ハワイのウグイスはホーホケキョと鳴かない?
ウグイスは日本からハワイに持ちこまれ、外来種として生息しています。
そんなハワイのウグイスは日本のウグイスのさえずりに比べて単純化されていることがわかっています。
これは、ハワイでは縄張り争いなどのライバルとの争いが日本に比べて激しくないためと考えられています。
【外部サイト:鳴き声が聞けるYouTube動画】
ウグイスとメジロの鳴き声
ウグイスはベージュ色で、メジロは黄緑色の姿をしています。
メジロの地鳴き、チィー
メジロの地鳴き、キュルキュル
メジロの鳴き声は、ウグイスの鳴き声とは違って甘い感じで、さえずりは複雑なリズムです。
ウグイスの食べ物
ウグイスは雑食で、夏場は昆虫や幼虫、クモ類を捕食し、冬ばは植物の種子や木の実なども食べます。
また柿の実を食べにやってくることもあり、
柿は熟したものや、他の野鳥が食べて果肉が見えているものをよく食べる(時期的には12月中旬以降)
海外の調査記録によると、繁殖期の食性は、昆虫食で、秋に入ってからも、昆虫が主な食べ物でした。
【参考文献:ウグイスの生態習性】
ウグイスの一年
秋冬のウグイスは、スリムな体型をしています。
春夏のウグイスは、さえずりの為、喉の筋肉が発達し、さえずると羽から喉の筋肉が見えるほどです。
春のウグイス
春のウグイスは、オスがさえずり始めます。
さえずり始めは喉の筋肉が発達していないため、ハッキリとしたホーホケキョにはならないが、徐々に筋肉が発達していき、綺麗なさえずりが歌えるようになります。
春のウグイスのオスはマッチョになる!?
元々、ウグイスはオスとメスで、大きさが違います(オス16cm/体重15g、メス14cm/体重10g)
それが春が近づくと、オスはより体を大きくし、体重が20g前後まで増えることがわかっています。
さらにモモの筋肉も付き、がっしりしてきます。
その為、この時期のウグイスのオスは握力が半端ではなく、調査の時に掴まれたりすると血が噴き出します。
(秋冬のオスやメスに掴まれても、痛くもなんともない)
また、体のサイズ変化は、オスのみが行うもので、メスは通年14cmほどです。
なぜ、ウグイスのオスは体が変わるのか?
それには以下の理由が考えられています。
- 質の良いさえずりをするため
- 繁殖中のオスは、さえずりが主な仕事なため
- ウグイスにとって、さえずりは繁殖により重要な役割があるため
ウグイスは一夫多妻制で、オス1羽に対して複数のメスが子育てをするため、オスの縄張りの薮の中には、5〜7個の巣が見つかります。
子育て中のウグイスのオスの仕事は、
- 縄張りの見回り
- 捕食者が近づくと警戒の鳴き声を出してメスに知らせる
- 他のオスがやってくるのを阻止して縄張りを維持
- 新しいメスを呼び寄せ、子育てしてもらう
その為、子育て中のウグイスのオスは、どれだけ鳴けるかにかかってます。
- ももの筋肉の増加は、枝をしっかりと掴み、遠くまで聴こえるようなさえずりの姿勢を維持するのに役立ちます
- 喉の筋肉の増加は、美しいさえずり、大きな声のさえずり、より遠くまで届くさえずりの為に欠かすことができません
そのため、ウグイスのオスは春になると、体を大きくして繁殖に備えるように進化したと考えられています。
なので、秋に繁殖が終わると、さえずる必要がなくなったオスは体重が減少して、チャッチャッと鳴きながら、藪の中を移動する生活に戻るようになります。
そして、また春が来ると、体重を増やし、秋には痩せると言った…
最近流行りの筋トレマニアみたいな生活を送っていることになります。
【参考文献:ウグイスの不思議】
冬のウグイス
チャッチャッやジャッジャッと聞こえる鳴き声を出しながら、茂みの中を移動しながら生活します。
冬が深まってくると、食べ物を探しに行動範囲が広がり、住宅地の植え込みなどにもやってきます。
ウグイスの観察ポイント
春夏のウグイスは、さえずるために木のてっぺんや電線などの開けた場所に出てくるので、姿を観察しやすい時期です。
ただ個体によっては、人目につかない位置の木で、さえずったりしているので観察しやすい場所を探すのも大切な要素です。
秋冬のウグイスは、基本的に薮の中にいるので、チラチラと姿は確認できるものの、ハッキリと見れる機会はなかなかありません。
枯れたヨシ原などにいるウグイスは、開けた場所に出てくる機会も多いので、秋冬はヨシ原に来たウグイスを観察するのが良いかと思います。
ウグイスのメスは、オスと比べて小さいですが、野外で判断するのは難しいです。
見比べると、オスの方が一回り大きいですが、そんな機会は普通に観察する中では、ほぼないです。
チャッチャッやジャッジャッという地鳴きは、オスとメスのどちらも鳴きます。